きたない心をキミにあげる。


うーーーん。


俺から連絡した方がいいのか。してもいいのか。



いや、でも、でも。



彼女の小さな肩幅。揺れるポニーテール。右腕のブレスレット。


そして、左腕の赤い傷。



全てが俺の記憶に鮮明に刻まれていた。


頭の中で再生する度に、ドキドキしつつも自己嫌悪におちいってしまう。



この前、愛美の手首の傷に危なく唇をくっつけてしまいそうになった。



初キスすら済ませていないのに。


一体俺は何を考えていたんだ?



いや、何も考えられなかった。



高鳴った鼓動によって、体が勝手に動いてしまった。


寸前のところで頬に押し付けるだけにとどめることができたけど。



しかも1人で泣いちゃったし!



……絶対にドン引きされた。



嫌われた。

女々しいって思われた。



俺みたいなキモオタが、三次元の美少女に近づきすぎちゃいけないんだ。


慣れないことをして、すぐ勘違いや間違いをおかしてしまう。



だけど、愛美に会いたい。



彼女の苦しみを俺が全部受け止められればいいのに。


弘樹の代わり、ではなく、俺として。



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