きたない心をキミにあげる。



僕は必死に自分を演じるようになった。



思ったことはすぐに口にせず、誰にも害のないような、あたりさわりのない言葉を選んで話をして、あたりさわりのない行動を取るようにした。



それまでは友達と冗談を言い合ったり、ゲームにはまったり、美少女系のアニメを見たり。


おそらく年相応な普通の男子だったはずだけど、何がきっかけでバレるかが分からなくて怖かった。



僕が犯罪者の息子であること。


そして、その父と血がつながっていることを。



家で父と話すことはほとんどなかった。


外の世界での疲れが押し寄せて、家では何もする気が起きなかった。


次第に部屋の中が荒れるようになった。



前の学校での友達、新しい学校でできた友達だと思われる人たち。


彼ら彼女らが頭の中に浮かび、こう囁いてくるのだ。



お前にも汚い血が流れているんだ、と。



それをかき消すように手当たり次第、物を投げて、壁を殴って、頭を掻きむしって。


でも学校ではニコニコと笑顔を作り、話を聞き、いい人を演じ続けた。



制服の女の子が出てくる漫画やゲームはすべて隠したり、捨てたりした。


そういう作品には詳しい方だったけど、何も知らないふりをした。



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