きたない心をキミにあげる。
受容(A)









「あの、私と付き合ってくれませんか?」



高校3年生の秋。


俺は同じクラスの女子に告白をされ、ビビっていた。



「え、ええっ!? 俺と? その、あの……これ、罰ゲームとかじゃないよね?」


「違うよ。圭太くんが好きだから告ってるんじゃん!」



トランペットやクラリネットの音が聞こえる、夕方の非常階段で。


目の前でその女子に怒られてしまい、「ご、ごめん!」と勢いよく謝る俺。



「足痛そうなのに、体育祭で頑張ってたとことか、落とした消しゴム拾ってくれたりとか、その……気づいたら圭太くんのこと目で追ってて
……って、こんなこと言わせないでよ! 恥ずかしい!」



いやいや、自分から言って更にキレないでくださいよぉ。


と、おろおろしつつも、俺はしっかりとメガネ越しに彼女を見据えた。



「ごめん。俺、好きな人いるから」


「そっか……。じゃあ、ダメだよね……。そうなんだ。……うっ。あれ、ごめん、何で泣いてるんだろう、私……」



えええ!? 泣いちゃうの?


どどどどうしよう。これって、俺が泣かせちゃったやつ!?



「ごめん。うわぁ、本当にごめんね!」


「バカ! そんなにあやまらないでよ! もういいっ!!」



パタパタとズックの音を鳴らし、その子は去っていった。


目の前の出来事についていけず、カラスの鳴き声をバックにぽかーんとたたずんでいた。



すると、


「圭太くーん。聞いちゃったよ。見ちゃったよ」

「リアル女子泣かせるなんて、ホント悪い男っすねぇ」


と後ろからいつもの友達2人の声がした。



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