眼鏡とハンバーグと指環と制服と
第一章 十七歳にして人妻になりました

七尾夕葵(ななおゆずき)十七歳、ただいまとんでもない決断を迫られていま
す。

「ですから、君子さんの遺言により、月原夏生(つきはらなつき)さんと結婚
していただくことになります」

……うん。
弁護士さん、すっごく真面目な顔だから、冗談いってるんじゃないと思うけど
……。
でも、何度聞いても冗談としか思えないですから!

「月原さんとご結婚なさらない場合は、相続の一切を受け取れないことになり
ますので……無一文になりますね」

……おばあちゃん(君子さんだ)は一体なに考えてたんだろ?
なつにぃと結婚するか、無一文になるか選べ、なんて。
そんな重大な決断、高二の私にはできないよ。

「……なつにぃは嫌じゃないの?」

「えー?別にー?
だって僕は、お願いしてでもゆずちゃんと結婚したいって思ってたし。
願ったり叶ったりだよー」

もうひとりの当事者、月原夏生、通称なつにぃはふふってゆるゆる笑ってる。
嬉しくて堪らないのか、いつも以上にゆるーい感じだ。

「でも、ゆずちゃんが嫌なら、無理にっていわないよ?
けど、無一文になっちゃうのは困るよねー?」

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