眼鏡とハンバーグと指環と制服と
一生懸命引き摺ってたら、亜紀ちゃんから取られた。
亜紀ちゃんは涼しい顔して扱ってて、ちょっと悔しい。

「ただいまー」

「おじゃまします」

「おかえりなさい」

いつものようにおばさんは、にこやかに私を迎えてくれて、……さらにはスー
ツケースを軽々と抱えちゃって、……羨ましい。

「しばらく、お世話になります。
よろしくお願いします」

「いいのよー、そんなに改まらなくて。
自分の家みたいにしててね?
そうそう、部屋なんだけど、亜紀と一緒に寝るのと、和室使うの、どっちがい
い?」

いつもだって自分の家みたいに過ごさせてもらってるけど。
こんなに長くお世話になるのは初めてだ。

「亜紀ちゃんさえよければ、一緒の部屋で」

「私は別にかまわんが」

「なら、荷物持って行ってあげてね?」

亜紀ちゃんと一緒に部屋に行く。

以前はちょこちょこ泊まりに来ていたから、私のお布団も常備されてる。
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