【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
思わず目が泳いでしまう。
「あ…う、うん。火傷の手当てしてたの…」
「そうですか。まったく今日は災難でしたね。
でもご無事で良かったです」
「あはは、ありがとう」
必死で平静を装ってはみるけれど、内心心臓バクバクだ。
今起きたことが、頭から離れなくて…。
すると、かーくんは急にサッとその場から立ち上がる。
「……じゃあ俺、行くわ」
「えっ?」
そして、そのまま私と目も合わせずに、部屋から出て行ってしまった。
バタンとドアが閉まる。
「……」
あ、行っちゃった…。
「…あれまぁ、行ってしまわれましたね。
もしかして僕、お邪魔でしたか?」
「…へっ!?
そ、そんなことないよ!」
紫苑に聞かれて慌てて否定する。
だけど、胸のドキドキはおさまらなくて。
思わず両頬に手を当てる。
どうしよう……。なんか、なんか…。
一体今のは何だったんだろう。
かーくんは今、何をしようとしてたんだろう。
しばらくそのことが頭の中を埋め尽くして、それ以外何も考えられなくなってしまった。
.
*
.