【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜
紫苑が私の腕のガーゼを張り替えながら言う。
傷口は乾いて、前ほど痛々しさはなくなったけれど、それでもやっぱりみんなにすごく可哀想な目で見られる。
私は別にもう痛くないし、平気なのに。
なかには「お嫁にいけないね」なんて噂してくる人だっている。
傷ものみたいに扱われるのがすごく嫌だった。
顔ならまだしも、ちょっと腕に傷ができたくらいで。
それで結婚を嫌がるような男なんて、こっちから願い下げだわ。
パパはいまだにこの怪我のことに腹を立てている。
私はかーくんをクビにしたパパが許せなくて、しばらく口を聞いていない。
家の中の空気まで悪くなって、居心地が悪くてたまらない。
これも全部、わからずやなパパのせいだ。