嘘つき天使へ、愛をこめて


「その顔、なに?」

「え?」


それはこっちのセリフだ、と思いつつあたしは怪訝に眉根を寄せる。


「……泣いた?目、腫れてる」

「あ」


そういえば、昨日あれだけ泣いた後だった。

目が腫れていないわけがない。


あたしはかあっと赤くなって、思わず顔を両手で覆う。


今あたし、絶対超絶ブサイクだ!!


「な、なんでも、ない!」


というか大翔!

なんで今の今まで言わなかったわけ!?

絶対気づいてたでしょうに!

昨日の仕返し!?仕返しなの!?


「なんでもなくないだろ。何があった?……大翔さんに、なんか言われた?」

「おい待て雅、なんで俺のせいなんだ」


猛烈な恥辱に悶えるあたしを他所に、雅の声音はいつになく真剣で、大翔は心外だとでも言いたげに反論する。


見れば、雅の後方で幹部メンバーたちも心配そうにこちらの様子を見守っていて、あたしは複雑でしかなかった。


どう見たってこれはあたしが心配する側で、される側の状況ではない。
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