(A) of Hearts
ポーカーフェイス

♡♡♡♡♡♡



24歳の誕生日はハプニング続きで。



『プレゼントは、ないけどな』



もう十分すぎる。
お釣りがくるほどだよ。
携帯は見るも無残な有様になってしまったけれど。

だけど専務がわたしの誕生日を記憶していたのには本当に驚いてしまった。秘書だから?

そりゃ個人データとして目にしたかもしれないけれど、それをわざわざ覚えてるものなのかな?

まさかとは思うけれど、じつは全社員の誕生日を覚えてたりなんかして。


おりあえず、芦沢さんが元気になってくれてよかったな。ギクシャクしちゃったら明日からやりにくいもんね。

そして少し咳き込みながら歩いていく芦沢さんを見送った。


「はあ……」


しかしさ。
キスしてしまったよ。

というか何年ぶりのキス!?
高校生のとき以来だから…、え、8年!?

もうあれから8年も経っちゃってるの? 月日が経つのって早いよね…。

なんていう現実逃避な思考に逃げつつ、そっと唇に触れてみる。


「……」


柔らかかったな…。
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