(A) of Hearts
キングのハート

♡♡♡♡♡♡


少なくとも、わたしの目には自信に満ち溢れているよう映っていたので、なんだか親近感が湧いた昨日。


緊張はするけれど、それはわたしだけじゃない。そう思えば、なんだか漲るパワーがメラメラと湧き出てくる。

昨夜は秘書ノウハウをくまなく読んだ。
みんながみんな最初からできる秘書だったわけじゃない。

わたしは、わたしにできることを!
しかし自分だけがよくてはならない!

すべては芦沢さんのため。芦沢さんが上手く立ち回れるようサポートすることができたとき、それこそが自分の功績に繋がるのだ。
そして芦沢さんが失敗するようなことは、絶対にあってはならないっっっ!


「おはようございます!」

「おはよ」

「行きましょう専務!」

「元気だなあ」


少々お疲れにも見える芦沢さんは、呆れた表情で息を吐き出した。


「おにぎり作ってきました!あとチョコとキャラメルに、それから」

「遠足か?」

「引きしめるときは、きちんと引きしめますよ!専務を見習ってオンとオフをきっちり使い分けます!」

「勘違いするな。移動時間も勤務中だぞ」

「固いこと言わず。内緒にしときますから」

「——お前な」

「行きましょう!」

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