テンポラリーラブ物語
4
その翌日のこと。
どんなに大きく目を見開いても、腫れぼったい取って付けたようなまぶたが邪魔をして、なゆみの目は半開きになっていた。
赤い目を通して見た鏡に映った自分の姿。
それはまさに最悪だった──
なゆみは暫く絶句して、鏡の中の自分と睨み合っていた。
この日はすれ違う人にも見られるのが嫌で、うつむき加減に出勤する。
このまぶたの腫れはすぐに引いてくれるだろうか。
何度も気にして目をこすれば、益々赤く色をつけたように腫れ上がっていくようだった。
なゆみが店に着いたとき、すでに端のシャッターは半開きになっており明かりが漏れている。
氷室はいつもより早く来ていた。
腰を屈めてぬーっとシャッターを潜り、恐る恐る店の中に入って行った。
幸い氷室は何かをしていて、なゆみに背中を向ける格好になっていた。
その隙をつき、そそくさと控室に一目散に向かいながら、素早く挨拶を済ませる。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
氷室が振り返り返った時には、すでになゆみは控室に入ろうとしていて、後姿しか見えなかった。
そして、この日の朝、氷室もどこかぼやけたようにぼーっとして、控室のドアが閉まるとひっそりと細い溜息を吐いていた。
その翌日のこと。
どんなに大きく目を見開いても、腫れぼったい取って付けたようなまぶたが邪魔をして、なゆみの目は半開きになっていた。
赤い目を通して見た鏡に映った自分の姿。
それはまさに最悪だった──
なゆみは暫く絶句して、鏡の中の自分と睨み合っていた。
この日はすれ違う人にも見られるのが嫌で、うつむき加減に出勤する。
このまぶたの腫れはすぐに引いてくれるだろうか。
何度も気にして目をこすれば、益々赤く色をつけたように腫れ上がっていくようだった。
なゆみが店に着いたとき、すでに端のシャッターは半開きになっており明かりが漏れている。
氷室はいつもより早く来ていた。
腰を屈めてぬーっとシャッターを潜り、恐る恐る店の中に入って行った。
幸い氷室は何かをしていて、なゆみに背中を向ける格好になっていた。
その隙をつき、そそくさと控室に一目散に向かいながら、素早く挨拶を済ませる。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
氷室が振り返り返った時には、すでになゆみは控室に入ろうとしていて、後姿しか見えなかった。
そして、この日の朝、氷室もどこかぼやけたようにぼーっとして、控室のドアが閉まるとひっそりと細い溜息を吐いていた。