雪の日に祝福を…。
  


「月依。」


「馴れ馴れしいって言ったでしょ。」


 退社のときに待ち伏せていた。


「頼む。瑠々に逢ってくれ。」


「なぜ?」


「流産しかけて入院してる。お前から奪った罰だって、言ってる。」


「そう。」


「だから、話しを・・・」


「知らないわ。」


 通り過ぎるときにメモを渡された。


「ちょっと!」


「俺、邪魔しないから。」


 そのまま走り去って行く。


「悠葵…私も、病気なのよ。」


 走り去る元婚約者に小さく言った。


 ゆっくりと足元に注意して家路に着く。


「大家さん。」


「おや、月依ちゃん。」


「電話しようと思ってたんです。」


「何か困りごとかい?」


「実は、マンションを出ようと思っているんです。」


 エントランスでたまたま大家さんに出逢い退去のことも話しが出来た。


「どうしたね?」


「実は、心機一転しようと思って。」


「そうか。残念だね、いい人に住んでもらったのに。」


「長くお世話になりました。日にちが決まったらまた連絡します。」


「寂しいけど書類を用意しておくよ。」


  
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