雪の日に祝福を…。
「そうよ。慣れるしかないの。」
少し前までは、すぐ傍に居たのにまではとても遠い。
「此処で食べる。」
「どうぞ。」
平静を装うのが上手くなったものだと自分に笑いが込み上げる。
》 》
私は、蝕まれていく。
本心を隠して平静を装って暮らしていく。
あの頃は、それで精一杯だった。
そんな生活の中でも癒やしはフとやって来て私をあの忘れていた感情の中へと押し戻そうとしてくる。
あの子は、そんな子だった。
《 《
「月依。」
店に入るなり機嫌の悪い声が飛んできた。
「久しぶり。」
にっこり笑って受け流す。
「お前に飲ませる酒はないぞ。」
「もう、いつまで根に持ってるの。」
コート脱いでいつも通りに端に座る。
「あれ、燵夜くんは?」
カウンター内を見るとあのアルバイトくんが居ない。
「今日は休みだ。」
「あれ、残念。」
「なんだ。燵夜目当てで来たのか?」
「妬けちゃう?」
「馬鹿!あんなガキと張り合う年だと思ってるのか?」
「残念。」
にこにこしながら素っ気なく出された水を飲む。