アイドルの素顔に夢を見るのは間違っている
二次元は優しい世界


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー



「久しぶりにあったら、なんか可愛くなってない?心優」


「ぶっ!!」


「うわっ、おまっ、きったねぇ!」



何週間ぶりに来た晃の家。


たまには休みなさい。美容に悪いから

としーちゃんがお休みをくれたのだ。



『いい?彼氏と会っていちゃついてくるのよ!じゃないとあんたは女として枯れちゃうわ!』



そしてこんなお節介をされて、晃に連絡をとりいまに至る。



しーちゃんが心を許してくれたのは、そりゃもう大きな進歩で

アイドル活動への目標が見えてきたと言っても過言ではない。



だけど、さすがはオネェ。
色んなお店に連れ回されては、あれしなさいこれしなさい。自分を磨かなきゃダメだとか、私の上司に向いてないだの小言が多い。


オネェさんというよりは、美の姑だ。



まぁでもそのせいで晃に褒められてしまったのだけど。



「……いや、実は1人美容にうるさい人がいて、俺の社長なら美に気を使えーなんて……」



オネェがいるなんて、彼氏にも言えるわけがなく軽く自分でアレンジしておいた。




「へー…さすがアイドル目指す男は違うなぁ……」


「その人が特殊なんだけどね。あはは」


「そかそか。」


飲んでいたお茶をコトンと机に置くと、晃がソッと横にくる。



そういえば本当に久しぶりだ。
しーちゃんに選んでもらった下着つけて来てよかったかも。



なんてそんなバカなことを考える私の頭。



「心優……お疲れ様」


彼特有の頭なでなでがきて、私が唯一甘えられるのはやっぱり晃だけだと実感。



そっと身をまかせるといつのまにかキスがきて、心地いい世界に酔いしれた。



…癒しだ…本当に……



「……晃……」


「…やっぱ可愛くなってる…」


クスッと甘い言葉を囁かれて、後は身をまかせるだけ。それだけだった。



それなのに



♪〜


部屋中に響いたスマホの着信音にお互い身体が止まる。



しまったぁあああああああ
マナーモードにするべきだっタァああああ



心の中で激しく後悔して、慌ててスマホを切った。



しかし、数分もしないうちにまた鳴り響くそれ。




「も、もうだれ!?」



< 60 / 66 >

この作品をシェア

pagetop