日帰りの恋
 神田さんの優しい微笑みを独り占め。
 たとえその目に映る自分が部下以外の何者でなくとも、このシチュエーションは美味しい。
 そうでしょう?

「それじゃ、行こうか」

 神田さんは張りきって店舗へと誘導する。

 少し手狭なお土産売り場では、駐車場と同じく私を庇うように歩いてくれた。
 でも、特別な意図などない。
 女性をスマートに扱うのは、大人の彼にとって自然なことなのだ。

(ああ……笑顔がもたない)

 お土産を眺める神田さんに、それとなく背を向ける。泣きそうになりながら、ようやく気付くことがあった。

 私はこの一年で、彼のことを本気で好きになっていた。単なる憧れではなく、今この瞬間にも恋心を募らせている。上司ではなく、一人の男性として――

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