日帰りの恋
 遠慮すると、いかにもがっかりした表情をするので、私は気に入ったものはどんどん買い物かごに入れた。

 すると神田さんは「なるほど」と感心したり、購入したグッズをスマートフォンで撮影したりする。
 新商品開発の参考にするのだろう。

 主任のお役に立てるのなら、ドライブにお付き合いした甲斐がある。
 私は部下として、心からそう思えた。

 それに、神田さんは上司として尊敬すべき人だと再認識している。
 キャラクターグッズに関しては、かなりディープなコレクターだと自負する私だけど、彼と話すうちに、それは自惚れだとわかってきた。

 神田さんは私のはるか上を行く、グッズ収集の達人だったのだ。特にトモロウの製品は、年代別に、全国のどの場所でどんなものを販売していたのかほぼ把握しており、まるで歩くカタログのよう。

 一年間一緒に仕事してきたはずなのに、ここまで完璧だとは知らずにいた。
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