運命なんてありえない(完結)
後半戦は大也くんの独走状態といった試合展開で、終わってみれば68対24という大差で優勝を決めた
歓喜に湧くサポーターと同じく、佳香と抱き合って喜んだ
グランドでは現在表彰式が行われている
端の方に巨大なモニターが設置され選手の1人1人が大きく映し出される
大也くんはMVP、得点王、最多トライゲッター、ベストフィフティーンとタイトルを総ナメにした
表彰式の後に優勝したチームの監督・選手へとインタビューが始まった
次々にモニターにアップで映し出される見知った勇姿達
こんな時も順番は年功序列で最後に大也くんが映し出されると一般のサポーターからは黄色い声も上がり、やっぱり人気のある人なのだと実感する
「今の気持ち誰に伝えたいですか?」
インタビュアーからマイクを向けられる
「ちょっと借りていいですか」
そう言ってマイクを奪う大也くん
「日下杏さん」
突然スピーカーを通した大音量で名前を呼ばれ、再び柵から乗り出す
相変わらずテレビカメラが私の横にいる…私なんか撮っても何も出ないわよ!と心の中で悪態をつく
グランドの中央にいる大也くんと目が合う
「5年半前のあの日から俺の原動力はいつだってあなただ。これからもそれは変わらない。」
大也くんの言葉に視界が滲む
「俺と結婚してください」
真っ直ぐと見つめられて告げられたプロポーズに溢れ出した涙は止まらない
「はい」と泣きながらも頷くと会場中が歓声を上げる
びっくりして顔を上げると仲間に揉みくちゃにされてる大也くんが苦笑いしながら指差した先にはスクリーンに映し出されている私の顔…
思わずしゃがみこみ恥ずかしさに顔を隠す