ふたりで

「ごめんなさい。私たちはもう、ふたりで道を歩き始めてるの。もちろん、こーちゃん、いえ、芝宮君の気持ちが変わればわからないけど、そうならないように、私はふたりの絆を深めていくつもり。」

私ははっきりと、言い切った。

「そうね。これからは、まだわからないよね。奈津美が諦められなければ、可能性がない訳じゃないよね。」

それを聞いて、幸が、
「部外者が口を出しても、と黙っていたけど、親友の立場としてアドバイスさせてもらうわ。あなたもその人の親友なら、早く諦めて新しい恋を探すように支えてあげれば。いつまでも振られた恋を引きづっていては、時間のむだよ。」

すると、津山さんは、
「私だって、そう言ったのよ。でも奈津美は諦められないのよ。高校入学してから三年間、芝宮君を思っていたから。すぐには無理なの。まだ時間がかかりそう。」

「まあ、そっと見守っていくしかないかもね。」
と、幸が、静かに言った。

「話をさせてくれて、お礼を言うわ。今のところ、あなたたちが駄目になることはないってことは、わかったわ。じゃあ。」
と、津山さんは、席を立って出て行った。

幸が、
「津山さんって、同じ大学だよね。」

「そう、確か経済学部って聞いたけど。」

「今後何もないといいね。」
幸が、不安そうに言うから、私もちょっと心配になった。

もちろん、その夜、夕食のあとにこーちゃんに一部始終話した。こーちゃんとは、隠し事を絶対にしない約束になっているから。

ふたりが信じ合い、相手をちゃんと見てれば、大丈夫!と、私は夜空な星に念じた。

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