ふたりで

こーちゃんが、帰ってきた。

「幸さん、真愛、久しぶりだね。真愛、身体の方はもう大丈夫?」

「うん。大丈夫。」

「さて、今日はふたりそろってどうしたの?」

幸が、
「真愛、私がついているから。」


私は、大きく深呼吸をして、こーちゃんを見て、

「聞きたいことがあるの。私が事故にあった日も、今日も、誰と一緒にいたの?」

「やっぱり、あの日、見られていたのか?」

と、納得するように、こーちゃんは、言った。

「ずっと、真愛の様子が、おかしかったから、もしかしてとは思っていたんだ。でも、事故のショックもあるだろうから、話すのを戸惑っていた。

あの子は、俺の妹になる予定の子なんだ。5月には、正式になる。実はかあさん、再婚する。あの子は、その相手の娘。
彼女とは、冬休みに初めて会わされた。兄貴もいたけど。

真愛が事故にあった日は、バレンタインだからといって、チョコレートを持って会いにきた。こっちに着いてからメール寄越すから、会わないわけにいかなかった。かあさんに俺の様子を見てきてくれと言われたと言うから、部屋に仕方なく連れてきた。

今日は、彼女中3なんだけど、高校の合格祝いが欲しいと、また急に来て。でも、今度は、駅前で新しいスマホのカバーを買ってやって。何とか帰した。」

「こーちゃん、すっかり、あの子に振り回されてるね。そのせいで、真愛は事故にあった。そうでしょ。」
と、責める幸の声。
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