プラネタリウム

現実

映画が終わってからもその世界から抜け出せず、映画の話で盛上がった。

ここがよかったとか、結末が感動したとかそんな話し。

そんな時、母からの電話がきた。
大した用事じゃなくて、甘いもの買ってきてという電話だった。

母からの電話で家族の話しになった。

私は3人家族の一人っ子だと話した。

「大翔くんは?」

一瞬顔が少し曇る…。
聞いてはいけなかったのかな?

大翔くんが口を開いた。
「俺んちは4人家族。妹がいるけど親父が違うんだ」

何て言ったらいいのかわからなかった…。

大翔くんが続ける。
「俺が3歳の時に母さんが離婚して親父が家を出た。だから本当の親父の顔はしらない。今の親父とはどう接していいのかわからないし、嫌いだから」

平気そうに話す大翔くんは寂しそうだよ…。
無理しなくていいんだよ…。

そう言いたかった。

でも大翔くんは同情も求めていないし、理解してもらいたいとか思ってない感じがした。


だから私は別の話しに切り換えた。

バイトの話し…とかくだらない話し。

いつも私の話を真剣に聞いてくれる。

だから何だって話せそうな気がするし、相談もできた。

大翔くんがくれる言葉はいつも嘘がない…。

厳しいことも言われるし、前に傷を舐め合う関係とかいらないとか言っていた。

同級生とは思えない、お兄ちゃんみたいな人。

一緒にいると落ち着く。


次の日学校へ行くと、廊下で北斗とぶつかりそうになった…お互い「ごめん」素っ気なく。

北斗は私を友達とも思っていない態度だった。

少し前まで仲良かったのにね…。

優しくて、かわいい笑顔にはもう会えないんだね。

北斗…唇の傷どうしたの?
聞きたかった…

だけど…素っ気ない北斗の顔が…
苦しくて…苦しくて…切なくて…切なくて…声を押し殺して泣いた。

別れを選らんだのは私なのに。

この後、私はもっと苦しい事聞くんだよ…。

北斗…あかねの事本当に好きだったよって言って…

お願い…付き合ったこと嘘じゃなかったって言って…

私…壊れそう。

廊下で泣いている私に気付いてりこが「どうしたの?」と聞いてきた。

私は素っ気ない北斗の顔が苦しくて、本当に別れた事を実感して辛くなってしまったと話した。

後…北斗は私を友達とも思っていない事も。



りこは黙っていようと思ったけどと話し始めた。

北斗が私と別れた後、ゆうりくんが別れた理由を聞いた。

北斗は「みく」という子が初恋の人だった。
だけど付き合って3か月後に振られてしまった…理由はわからない。
その後さゆりと付き合った。
高校に入って私を見た時、初恋の人に私の雰囲気が似ていて…その子と私を重ねて付き合った。
だけど、夏休みが終わった頃北斗のバイト先の本屋でたまたま会って連絡を取るようになった…。
私を傷付けてしまうと思って別れを言えなかった…って。

りこの声が遠くに聞こえる…。
こんなに近くにいるのに…。

北斗の話を聞いてゆうりくんが最低だと殴った。

私を避けていた時期と重なる…。
北斗はどんな気持ちで私と付き合ったの?

私にくれた言葉は嘘だったの?

これじゃ…付き合ったんじゃなくて、私の片想いだよ。

北斗は私と過ごした時間を全部否定した。

北斗はきっとあの子にしてあげられない事を私にしてたんだね。

それは…愛情じゃないよ。

私を傷付けると言わなかった「別れ」は優しさなんかじゃない。

バカで惨めな私を北斗は笑ってたんだね。

最低だ…。

私は決めた。
もう恋なんてしない。

恋をしても裏切られるだけ。
こんなに苦しい思いをするなら…もう2度と恋なんてしない。

これが私の現実。
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