プラネタリウム
奇跡
今日は検診の日。

病院も慣れたものだ。

一人でも大丈夫…今日は性別わかるかも…。

7ヶ月になったお腹。

性別がわかってから赤ちゃん用品を買おうって決めてた。

特に何もしてないけど体重管理はバッチリ。


テレビ見て待ってたら意外にもすぐ呼ばれた。

「神木さん、お腹出すね。ズボン少し下げるよ」

「はい」


先生が来た…

「ちょっと冷たいよ…」

今日はいつもの先生じゃなかった。

若そうって思ってたら、

「赤ちゃん順調だよ…そういえば性別聞いた?」

「わかるんですか?」

「わかるよ‼見えてるから」

「聞きたいです‼」

「男の子だよ」

「旦那さんの希望が男の子なんで嬉しい」

ついついでてしまった言葉。

「よかったね」と先生。

診察室をでて大翔にメール。

「男の子だって‼」

今日は天気がいい。

性別がわかれば買い物行きたくなる…。

週末って大翔、休みかな…。

私は一人でプラっとベビー用品を見に行った。

お人形さんが着るの?っていうくらい小さい服や靴下。


見てる内に欲しくなって、服や靴下…おくるみ…赤ちゃん用のタオルなどなどしめて2万円…ちょっと。

何でも欲しくなる…これでも我慢した方。

家に帰って大翔に見せた買ったもの。

「かわいいじゃん‼」

「でしょー‼」

大翔は名前を決めてあるらしい…。

「男の子でも女の子でもこの名前に決めてある」って言ってたけど、教えてくれない。

出産するまで教えてくれないらしい…。

生むの私なんだから名前は二人で決めたかったなぁ…。


大翔の仕事休みにベビー用品を揃えた。

明日は大きなベッドが届く…。

布団も…。

赤ちゃんが生まれる前に大掃除もするとか…

まだ全然キレイなのにラグも買うとか…

出費が多い…だけど言っても「大丈夫」の一点張り。


こうなったらまげないもんね…任せます。



こんな毎日もあっという間にすぎて私はいつ生まれても大丈夫な週数に入った。

お腹パンパン。

しかも…出べそになってる…。

私は大翔と大掃除。

窓拭きしたり、本当に引っ越しするの?っていうくらいピカピカ…3日かけて…しかも一人が多かった…。

赤ちゃんの物も洗ったり、服も洗濯したからタンスにしまった。

準備完了‼いつ生まれても大丈夫‼

入院の準備もしたし…。


疲れてしまった私は知らない内にソファで寝ていた…

はっ‼

待って‼おねしょ…?

嘘でしょ‼トイレに駆け込んだ。

おしっこ?止まらない…あっ…破水?

大翔に連絡をした。

「今帰るわ」

病院にも連絡した「今からおいで」

意外に軽い。

下着を取り替えて大翔の帰りを待つ…。

何となくお腹痛い…これ陣痛…余裕かも。


何て話しながら病院へ。

父と母も来ていた。

まずは診察。開いてきてるね…3センチくらいかな。

「今日は生まれないかもね…」

今は夕方の5時…。

そうなの?明日になるの?

甘かった…私の考え。



だんだん強くなっていく痛み。余裕かも?いや余裕ない。

痛くて声にならない…

腰をテニスボールで刺激してもらったり…


大翔もどうしていいかわからない感じだった。

「内診するから旦那さん外でてね」

その内診も半端なく痛い…「今で半分かな…」

マジ?後何時間かかるの?

さっきまでは痛い時間と痛くない時間の間隔があったのに、今はほとんどない…。


夜の11時…陣痛…今が最高に痛い。

いよいよ始まった分娩。

ここから30分…生まれました。

死ぬほど痛かったはずなのに…赤ちゃんを見たら吹っ飛んでいった。

「ギャーギャー」泣くその顔は愛しい。

助産師さんに胸をバッと開かれびっくりしていたら赤ちゃんが私の胸にペタッとくっつく。

愛しくて…涙が止まらなかった。

赤ちゃんを抱く大翔は固まっていた。

出産がこんなに大変だとは…知らなかった。


だからこそ…愛しくて、大切なんだ…。

私の赤ちゃんは3091グラムの元気な男の子。

「生まれてきてくれてありがとう」

私がいう前に…大翔が泣きそうな顔で赤ちゃんに言った。

私にも「あかね…ありがとう」

「私こそ…ありがとう」

二人で泣き笑い。

「超安産‼」って助産師さんに言われたけど、めちゃくちゃ痛かった。

「3日かかる人もいるよ」って…

無理…。私には耐えられない。

やっぱり母はすごい‼


大翔と私の赤ちゃんの名前は「翼」。

由来は「あかね色のそらを自由にのびのび飛ぶ…」

そんなイメージだそう。

「元気にのびのび育ってほしい」と願いを込めて考えた名前。大翔が…。

翼はよく泣くし、寝ない日大変だけど親子3人川の字で寝ています。

大翔は泣くと「どうした?」とか「どっか痛いんじゃないか」とか相変わらず心配症。

だけど赤ちゃんのにおいって甘くて癒しの香り…。

たまらない。

大翔は仕事から帰ってくると手を洗って着替えてから翼を抱く…

片方の口角をあげてフッて笑う…。

優しいパパの眼差しで。


私は大翔に出会えてよかった…。

色々乗り越えた後は必ず幸せがくる。

そう…必ず。
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