雪のふる夜
大雪の日

家もお金も全て失った
もう、死んでもいいと思った

どこにも行くあてのない私は、
公園でブランコに乗っていた

そのうち、雪が降りだして
このまま凍死できたらいいなーって思った
もう、苦しいのも悲しいのも嫌だったから

地面に転がってそっと目を閉じた

「おい!
 あんた、何やってんの?
 つか、生きてる?」

男の人の声が聞こえて目を開けた
肩を軽く叩かれた

「・・・生きてます」

死ねなかったー

とりあえず、体を起こした

「何やってたの?」

「・・・お恥ずかしい話なんですが
 詐欺にあいお金も家も失ったんですー」

ボロボロと泣き出してしまった
ほんとは、泣くつもりなんてなかった
思い出したら泣けてしまった

「わかったから!
 泣くな!
 ・・・嫌じゃなかったら俺んち来るか?」

「へ?いいんですか?
 こんな、見ず知らずの怪しい女を家にあげてくれるんですか
 あなた、神様かなにかですか?」

「もう、いいから行くぞ
 こんなとこで、死なれたら嫌なんだよ」

そう言ってしゃがんでくれて、
「ほれ、乗れ」
と背中に乗せてくれた

雪が降って寒いはずなのに、その男の背中は
なぜかすごく温かくてまた泣けた
とても、懐かしい感じがした
ほんとは、詐欺にあった訳じゃない
わざと、お金も全て無くした
私の余命はあと、2ヶ月だから
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