女の子として見てください!
その後、診察代のお会計を済まし、一緒に病院をあとにする。

涼しい夜風が私たちを包む。不安や緊張で熱くなっていた身体が心地よく冷やされるような気がした。


「さて、どうやって帰るか? 誰か迎えに来させるか、それともタクシー呼ぶか」

翔さんはそう言ったけど、私はこの心地よい風をもう少し感じていたくて。


「翔さんの手が痛くなければ、署まで歩いていきたいです。そんなに遠くないし」

私がそう言うと、翔さんも「俺は別にかまわないよ」と答えてくれる。

私たちは、ふたり並んで署までの夜道を歩いていく。



「……あの」

歩きながら、私はさっきから気になっていたことを翔さんに聞いてみる。


「さっき翔さんが葉子ちゃんに言ってたこと。あれって……」




『目の前に、俺が気になってる女の子と仲の良さそうな男が急に現れて』


『その子が決めたことを、その子の気持ちを、俺は大事にしていきたい。
不安になって、つい冷たい態度取っちゃったりもしたけどな』


さっきまで翔さんの手のことが心配だったのはもちろんだけど、それと同時に、あの言葉が頭から離れなかったことも否定できない。



私の言葉に、翔さんは少し言葉に詰まるも、話を続けてくれる。


「そうだよ。光太郎君と仲良さそうに話すお前を見て、ずっとモヤモヤしてた。……ヤキモチ」

「ほんとに、ほんとですか? 葉子ちゃんを落ち着かせるためにああ言ったんじゃなくて?」

「俺はウソつくのヘタクソなんだよ。いくら葉子ちゃんのためでも、あの場であんなウソは言えない」

翔さんは、ケガをしていない左手でアマを軽く掻いた。……照れくさそうに。


じゃああの言葉は、ほんとのほんとに、すべて翔さんの本音……?
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