独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
『まあそれはいいけどさ、あんまり香坂ちゃんにきついこと言うなよ』

人が感動に浸っているときに、『それはいいけど』なんて軽く流されてしまうのが腹立つ。


「前から気になってたんだけど、どうしてそんなに香坂さんのことを気にかけるの?」

先週の忘年会の時もそうだが、下風くんは他の女性職員のなかでも香坂さんのことをえこひいきしているような気がする。


『妹みたいなもんだよ。香坂ちゃんは』


なにかが繋がった気がした。

あの時、香坂さんがムキになって私に歯向かってきたこと。

そして下風くんが妹というほどに、あの二人の仲は親しかったのだろうか。


まさか、香坂さんも下風くんを好きだったとか…?

いや、いくらなんでもそれはないか。
あのふたりは年が離れすぎている。


どっちにしろ今は余計なことを考えている場合ではない。

明日は年金の支給日だ。
頭を仕事モードに切り替えないと。

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