エリート専務の献身愛
「あ、レナさん、最近ずっとカラコンなんですか?」

 ふたりの言い合いを止めるべく、話題を変えた。

「そう。瑠依から聞いて即実践したわ。慣れるとカンタンね」
「そうみたいですね。でも、私レナさんの瞳の色すごく綺麗で好きなのに」

 観察するようにジッと見つめる。

 レナさんは、やっぱり肌も白くて綺麗だし、目鼻立ちもハッキリしていて美人。加えて、グリーンの瞳がとても魅力的だった。
 けれど、今は髪の色と同じ黒色だ。

「わたしもべつに自分の目が嫌いなわけじゃないわ。ただ、周りの好奇の目が煩わしいのよ」
「うーん。でも、それって、瞳の色だけじゃなくて、レナさんの容姿じゃないのかなぁ」

 日本では、結構若い子とかカラコン使ってたりするから、目の色が碧いからって見ているわけじゃなさそうだけれど。

 仕事中はもちろん、休日も、周りの人間がレナさんを凝視するらしい。それが心地いいものではない、とレナさんは、少し前から愚痴を零していた。

 レナさんは目の下に人差し指を添える。

「まぁ、とりあえずもう少しこれで生活してみるわ」

 レナさんが生活しやすいなら、それでいいのかな。
 本心はあの綺麗な目が見れなくなってしまって残念。

 ちょっとしゅんとしながら、取り分けて貰っていた肉を食べる。レナさんは、空になった網の上に、新しい肉を乗せた。突然じゅわっと大きな音がして、目を瞬かせる。

「瑠依、元気出すには肉よ、肉。あら? 総、まだいたの?」

 しれっと暴言を吐き、このあとふたりは本日第二ラウンドに突入したのは言うまでもない。
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