人事部の女神さまの憂いは続く

ミーハーな子はSMHにとられるとしても、エンジニア志望の子は立花さんタイプが多いから、きっと立花さん自身が語ってくれたら共感してうちを志望してくれるはず、そう踏んだのだ。

ステージ上の立花さんと、その話に聞き入っている会場の学生さんたちを見ると、それは上手くいっているようで、ほっとした。


「おつかれさまでした」

講演を終えて戻ってきた立花さんに声をかけると

「ほんとお疲れだよ。これで、今年はもう勘弁してよ」

すかさず釘を刺される。

「善処、します」

苦笑いで答えていると

「善処、じゃねーよ。まじ1週間分の力使い果たした感じだよ」

立花さんはぐったりしている。

「でも、ほんと良かったです。会場の子たち、かなり真剣に聞いてくれてる子多かったんで。SMHの時とは空気感違ってて、狙い通りだと思います」

感謝の気持ちを込めて感じたことを言うと

「まぁ俺駆り出したんだから、ちゃんと成果出せよ」

社長っぽいお言葉をいただいた。

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