人事部の女神さまの憂いは続く

「わざわざ買い替えなくっても良かったのに」

お店を出てからそう口にすると

「なにより侑里が大事だって信じてもらうためだったら、何でもするよ」

ちらっと助手席に座る私を見ながら、さらっと言ってのける藤木さん。いきなりの甘いセリフにドキっとして藤木さんをじっと見つめていると、大きな手が伸びてきて、いつもみたいに優しく頭を撫でてくれる。

「俺はいつだって侑里さんに翻弄されっぱなしだからな」

なんて言って苦笑いしている藤木さんの横顔は、ちょっとだけ淋し気でチクリと胸が痛んでしまう。

「そんなの、私の方が・・・。私も藤木さんに飽きられちゃわないように、もっと藤木さん好みの女の人になりたいです」

ポツリと昨日感じた不安を口にすると

「お前以上に俺の好みなんて、いないんだけど。ほんと頼むからこれ以上夢中にさせないで」

言いながらハンドルに突っ伏している。
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