雨が降ったから僕らはキスをした。

「おはよ、しゅーちゃん」


電車に乗っていたらいつの間にか眠ってしまったようだった。
昇ってきた太陽の光が差し込む朝の電車と微妙な揺れはとても心地いい。



「ああ、おはよう…てかその呼び方やめてって言ってんじゃん」


「あはは、ごめんって。しゅーちゃん」


諦めてはあ…とため息をついた。こいつはそういう奴だ。

彼の名は今道亮介。
通称みっちー。クラスに1人はいるような典型的なお調子者のバカ。ただ男女からの人気は高くて少し悔しい。



「なに?今日元気ないじゃん?しゅうもついに恋の悩みか!?そうかそうか。恋愛の達人(スペシャリスト)と言われた俺様がお悩みを聞いてやろう!話してみよ悩める子羊よ」



しっかしまあよく喋る奴なこと。朝から頭が痛い。



「あ、ちなみに今恋愛の達人(スペシャリスト)って言ったけど達人って書いてスペシャリストって読むからそこんとこよろしく」


漫画だったら語尾に星マークがつきそうな勢いで大声で話すから電車の中では迷惑になって仕方ない。


「みっちーここ電車!声でかいよ」

そう言ってもごめんごめんと全く悪びれる様子もなく軽く謝ってくる。


僕の友達はそういう奴だ。

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