宮野さんはいつも困ってる
……あと少し。
ほんの少し。

……でも。
結局、死ぬ勇気がでなくて右足を元に戻した。

……ダメだな、私。

苦笑いでため息をついて、回れ右しようとした瞬間。

「なにやってるんだ!!!」

後ろから手を引っ張られ、もつれるように中に倒れ込む。
私の下敷きになってたのは、杉本先生。

「なにやってるんだ、宮野!!」

「……」

倒れたまま私を抱きしめる先生の手は震えてる。

心配、させた。
そりゃそうだよね。

「死ぬな。
せっかくの命だ、生きろ」

「……先生も、幸運だって云うんですか?」
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