宮野さんはいつも困ってる
——先生のこと好きになる。

そう云った日。
先生は私を抱かなかった。

「やっぱり私は穢れてるから嫌ですか……?」

困ったように笑う先生の目尻が下がる。

「宮野は抱いて欲しいか?」

反対に聞かれて黙って首を横に振ると、あたまを撫でられた。

「じゃあ、抱かない。
それだけだ」

先生の言葉が嬉しかった。
穢れてなんかない、きれいだよ、とか云われたらきっと、今度は先生のところを飛び出してた。

先生が抱きしめてくれてるときは安心できる。
ちゃんと、息ができる気がする。

私は先生にとって、誰かの身代わりだ。

そんなの知ってる。
先生が前に守れなかった、誰かの身代わり。

でも、それでもかまわない。
私には優しくしてくれる、守ってくれる誰かが必要だから。
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