宮野さんはいつも困ってる
それに、こんなときのために私の携帯にはお兄ちゃんの改造でGPSが付けてあるし。
むしろ心配なのは。

「……暑い」

梅雨の真っ直中。
今日は雨が降ってなかったとはいえ、曇り空で不快指数は最高。

まわりの湿気が肌に付いて水滴に戻ってるのではないか、そう思うほどに汗が流れ落ちる。

拭っても拭っても止まらない汗。

背中を滑り落ちる汗は、不快指数をさらに上げる。

このままだと脱水状態か熱中症に陥る危険がある。

「困ったな……」

仕方なく、壁に寄りかかって座る。

なんとかしないといけないのがわかってても、打つ手がない。
ただ、お兄ちゃんが助けに来るのをじっと待ってるしかない。

膝を抱えて顔をうずめる。

……あ、もしかして葵ちゃんの気を付けてって、このことだったのかな。
でも、なんでこんなことになったんだろ。
私、鈍感だから、誰か傷つけたのかな……。

次第にあたまががんがんしてくる。
朦朧となっていく意識。

……まさか、死ぬとかないよね……?
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