空港のある街では、今日も泣きたくなるほどの青い空が広がっている
だから私は最後にこう言った。

「嘘つき。私のことなんかどうでもええんやろ? ほんならどこにでも勝手に行けばええやん。アンタなんか大嫌いや。」





今日、彼は自分自身の夢のために飛行機に乗って一人で遠くへ行ってしまった。

何度も一緒に見上げた空はどこまでも青くて、太陽の眩しさに目がくらみそうになる。

滑走路目掛けて飛んでくる飛行機に向かって、喉が切り裂かれそうなほどの大声を張り上げ彼の名前を呼んだ。


ずっと一緒にいようって約束は守れんでも、せめて私のことを好きやって言葉だけは嘘でもいいから残して欲しかったのに。

だから私も大嫌いって嘘ついたんやで。


「私を置いて行くなアホー‼ホンマは好きやー‼大好きやー‼」



彼に届くことのない言葉を何度も叫んで見上げた雲ひとつない青い空が、にじんで見えた。


彼はここにはもういないけれど、空港のある街では今日も泣きたくなるほどの青い空が広がっている。




< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:9

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─

総文字数/446,334

恋愛(オフィスラブ)991ページ

表紙を見る
インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~

総文字数/367,465

恋愛(ラブコメ)732ページ

表紙を見る
社内恋愛狂想曲

総文字数/505,942

恋愛(キケン・ダーク)1,001ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop