3度目のFirst Kiss
親友のピンチ
気付けば、もうすぐ定時の6時になろうとしていた。
今日の仕事はひと段落したし、今日は定時で上ろうかな。イベントが近づくと、否応無しに残業も増えていくのだから。

 帰り支度を始めていると、奈緒子がフラフラしながらお手洗いの方に向かって行くのが見えた。
その歩き方がいつもより力なく感じ、私は思わず追いかけた。

「奈緒子、大丈夫?」

私は、お手洗いの入り口で、彼女に追い付く。

「あっ、彩華先輩。今日はお仕事終わりですか?」

彼女の口調もいつもより弱々しい。

「うん、そうだけど。奈緒子は大丈夫?顔色悪いよ。」

ランチの時は、あんなに元気そうだったのに。
やっぱり、イベント前で、疲れが溜まっていたんだろう。

「うーん、流石、先輩。実はちょっと、午後から体調悪くて。ランチ、食べすぎちゃたかな。」

奈緒子は笑って見せたけど、明らかにおかしい。
私は彼女の額に手を当てた。

思った以上に熱い。

「取り敢えず、医務室に行こうよ。ちょっと、休んだ方がいいから。」

「いやでも、まだ、仕事が。イベントの準備が終わってないので。」

「その体調じゃ、仕事も進まないでしょ。それに、明後日から出張なんでしょ。」

私は抵抗する彼女を無理矢理に、1階にある医務室に連れて行った。

定時ギリギリだし、まだ、看護師さんもいるばずだ。3課の上司への報告は後で私がすればいい。

今は、奈緒子を休ませることが先決だと判断した。

エレベーターに乗ると、彼女はぐったりと私の肩に頭をもたげて来た。

「大丈夫?だいぶ、無理してたんじゃないの?
本当は、昼から体調悪かった?」

私が、もっと早く気付いてあげれば良かった。

「気付けなくて、ごめんね。」

「先輩が謝らないで下さい。私、正直、今、ホッとしてます。先輩が気付いてくれて。さっきまで、本当は、
自分でもどうしていいか分からなかったんです。ありがとうございます。」

「分かったから。もう話さなくていいよ。」

私にもたれかかっている奈緒子の身体はとても熱い。
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