Drinking Dance
これじゃあ、逆だ。

星崎さんの失恋を慰めるために過去の出来事を話したのに、私が星崎さんに慰められていると言う状況である。

こんなはずじゃなかったのにな…。

「よかったら使ってください」

星崎さんがハンカチを差し出してきたので、
「ありがとうございます…」

私はそれを受け取ると、涙をぬぐった。

「今日は閉店まで一緒に飲みましょう。

同じビルに勤めているんですし、次にここへくるのはいつになるのかわかりませんし、一緒に飲みましょう」

「でも、お金が…」

「僕の奢りです、飲みましょう」

「そうですね」

顔を見あわせて笑いあうと、お互いのグラスを持ちあげた。

「はい、乾杯」

カチンとグラスをあわせると、一緒に飲んだ。
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