Drinking Dance
恋愛指南が終わったので、当然手を繋ぐ必要もなくなった。

すぐ近くに好きな人がいるのに指すらも触れることができない。

何とも言えない距離感にもどかしさを感じていたら、
「その後、どうですか?

石原さんに何かされていないですか?」

星崎さんが聞いてきた。

「いいえ、特に何もされていないです」

私は首を横に振った。

「そうですか、それはよかったです。

何か変なことをされたら必ず僕に言ってくださいね」

「ありがとうございます」

上司として、部下である私のことを心配しているんだと自分に言い聞かせた。

失恋で傷心している星崎さんに漬け込んで…なんて言う卑怯な、間違ってもしたくなかった。
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