ベル姫様と溺愛ナイト様
「姫、こちらをご覧下さい」
「え……?
いや、そんなことは……」

「お前、意外にマゾ……?」

突然膝をつき、首を垂れるレイに、狼狽えるベルに、ジト目のジェミロ。
だがレイは至って真剣だ。

「あのぅ、とりあえず座ってください、
そんなこと言われても困ります……」

「姫は……、姫は、本当に、お忘れなのですか……?
国のことも、ご両親である女王様とナイト様のことも、私のことも……」

床に片膝をついたまま顔をあげた青年は、弱々しく、すがりつくような瞳でベルを見上げた。

「あの……」

申し訳なさそうに眉を潜めて口を閉ざすベルに代わって、ジェミロが言葉を紡ぐ。

「お前、とりあえず座れ。
あたしも話がある。
ベルの話だ」

レイは黙って立ち上がり、再び椅子に腰掛けた。
< 41 / 260 >

この作品をシェア

pagetop