ベル姫様と溺愛ナイト様
「姫、ですが……」
さも当たり前、といった風のレイに、慌てた様子のベル。
ジェミロはうなだれた状態から、顔をあげてベルを見つめる。

「……レイと再会出来たのは嬉しいけど、いつかはお父様とお母様の国を復興したいけど……。
おねぇとお店も大事だし……。
わたし、このまま暫くここでおねぇと一緒に生活しながら働くよ」

「ベル……!」

「姫……!」

おねぇを一人にできないし、この生活、気に入ってるんだ。
と、笑うベルがこの時ジェミロには天使に見えた。
なんて愛くるしい妹だ。
あたしは幸せ者だ!
思いっきりぐしゃぐしゃに頭をなでると、くすぐったいよ、おねぇ、と、ベルはくすくす笑った。
そんな様子をじっと見つめるナイトが、悔しそうに唇を噛んだ。
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