雨の日のシロ
センリ
その男は雨が降っている日にふらりとやってくる。


「……ねぇ。いい加減、傘さすとかしなよ。センリ」


「えー、いちいち傘持ち歩くのめんどくさい。サワ、シャワー貸してよ」


職業も年齢もどこに住んでるかもわからない。


おそらくわたしと同年代。


わたしが知っているカレの情報は名前が「センリ」ってことだけ。それが苗字なのかも名前なのかもわからない。


「また?あのね、いい加減に…「うぅ、寒っ。おじゃましまーす」


わたしの小言を聞き流して勝手に玄関入ってすぐの脱衣場の扉を開けていく。


脱衣場の場所がわかるのは何度もセンリがこの家に来ているから。


呆れた装いを見せるけど、キュッと蛇口を開ける音に無条件に鼓動が高鳴る。


そう、センリに会えてわたしは嬉しいんだ。
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