雨の日のシロ
シロのらくがき
〜SIDE 千里〜


カシャッカシャッ


「いいね、アリスちゃん。可愛い。目線をもうちょっとこっちに…そう」


流行の服を着てポーズを決めているモデル、眩しいくらいのスポットライト、鳴り響くカメラのシャッター音。


ここが俺の仕事場。


高校を中退してアシスタントから始めて、有難いことに人気のカメラマンとして第一線で活躍している。


「センリさん!この前撮った写真なんですけど…」


センリは俺の仕事上での名前。


本名が千里だから女性と間違えられやすく、ややこしいのでこちらの名前を使っている。


「センリさん。このあと皆で飲みに行くんですけど一緒にどうですか?」


仲の良いスタイリストがそう誘ってきたけど、


「ごめんなさい。このあと用事があるんです」


「へー、デートですか?」


「それなら良いんですけどね。従姉妹に呼び出されて」


「残念。また今度行きましょうね」


従姉妹の香織から相談があると連絡が来たのはつい先日のことだった。
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