QUEEN of the JOKER
だが、そのJOKERはもう存在しない。


トランプ同盟は崩れ始めている。


もはやあたしには止める力はない。


「俺達、喧嘩しに来たわけじゃないんだよ?」


「…総長として聞きたい。JOKERの事を」


…総長の黒坂大和、副総長の橘蒼夜。


あたしは橘蒼夜を見てどうして思い出さなかった?…総会ではいつも会っていたはずだ。


「…JOKERの事を聞いて、あんた等の得になる情報はない」


「だろうね。僕もそう思うよ」


第2幹部の新崎蓮が口を開く。


「僕達が知りたいのはなぜJOKERが解散したのかだよ。君達JOKERが解散したって聞いてね、僕はその後君達の基地だと思われる所へ行ったんだよ」


「…」


こいつ、そこまで掴んでた?


「…お初にお目にかかりますが、お噂はかねがね…。さすが、剣龍切ってのハッカー」


昔、仲間から聞いたことある。剣龍にありえない情報網を持ったハッカーがいるって。


新崎蓮か…ふざけた見た目だけど、案外やる奴だ。


「…で、話を戻すけど。…JOKERの基地はまるで抗争があった跡だ。…JOKERの基地って謎に包まれてたよね?何があったの?」


「あんたらに教える義理はない」


「どうしても?」


和田謙也が口を開く。


…心配そうな顔をしている。なぜ…?


「あーっと…瑞希、包み隠さず話した方がいいと思う」


「は?なん───・・・」


なんで?…と聞こうとした時







バキィィィィィ!!!


……シュウゥゥゥゥゥゥ








「───・・・な」


「話して…くれるよね?」


…杉宮夏也よりも素早く、力強いパンチ。


「…話した方が怪我せずに済むと思うよ」


腕をパキパキと鳴らしながらニコニコ笑っている青ネクタイの男、橘蒼夜。










「うちの拷問担当が動いちゃうから」



どうしてこの男は大事な一言をいつも遅れて言うんだ。


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