QUEEN of the JOKER
呼び出された体育館。


そこにはあたしと黒坂以外誰もいなくて、日差しが間に差し込む。


黒坂は壁に背を預け、腕を組み立っている。


「…で、何の用?」


「…先日は剣龍が失礼をした」


「…は?」


「まずはそこから言うべきだったな」


…こいつ、まさかの超マイペース?


「…いや、あたしも挑発し過ぎたし…」


何でそれに乗ってるんだよ、あたしは。


「そうか、ならいい」と言うと黒坂は少し笑う。


「しかし、今日呼んだのはそれが本題ではない」


「でしょうね」


さすがにこれだけのために人気のない体育館に呼び出さないだろう。


「…お前が蒼夜との喧嘩に勝ってから早くも1週間以上は立っている」


黒坂は淡々と話し続ける。


「その事は思いのほか、広く知られている。他校にもな」


「マジか」


「そして、うちの舎弟が先日、族の集団に襲われている。1人2人ではない。お前も目にしたはずだ」


…もしかして、あたしを睨んでた男子生徒達のこと?


「それと一体どんな関係が…」


「その族は、噂を聞いて青道の奴らを襲いかかっている。…噂の真実を吐かせるためにな」


「…は?」


「『剣龍の副総長に勝った転校生がいる』と言うことを己可愛さの故に、吐いた者がいる」


…それって、つまりは…


「あたし、今…ピンチって事?」


「お前のピンチの基準は知らん。だが、お前は確実に他校にも狙われている」


ピンチじゃん。


「敵組織はどこかはまだ把握してないが、剣龍の傘下に手出しする奴らは確実に仕留める」


「敵の狙いは、分かってないの?」


「あぁ。おそらく、お前を仲間にするか、もしくはお前が剣龍や他の戦力に加わらないようにする為の策だろ」


「あたし、入るつもりないし…」


「お前はな。しかし、敵はその考えで進めていくだろう。勧誘して断られたら痛めつける」


「…最悪…」


あたしは溜め息を深くついた。


…まさか、そこまで噂が広がってるなんて。


…そういえば




「…ねぇ、何で忠告してくれるの?」



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