ナンパボーイズ

偽恋




*ゆーちゃんside*



ここは校舎の端にある美術準備室。

今日は土曜日、虎に学校へ呼び出され、ここに連れて来られた。

場所はどこでもいいって私が言ったから。本当は難波荘に一度行ってみたかったけど。

ここに来てから、どれくらいの時間キスしてるか分からない。虎はこないだの宣言どおり、本気で私と疑似恋愛とやらをするつもりらしい。

私が辛いことや嫌なことを忘れられるように、本気で協力してくれるみたい。

「くすぐった……!」

その虎が私の腰を抱いていた手をもぞもぞ動かすから、ぞくっと反応してしまった。

「ばーか」

離れた唇をもう一度寄せようとしたら、虎はそれを指でおさえた。
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