ナンパボーイズ
難破荘
――難破荘。
それは私たちの高校から、100mくらいの場所にある古い下宿。
築30年という話だけど、実は戦前からあるんじゃないかって噂も耳にする。
でも単に古いだけじゃなくて、よく言えばレトロ?モダン?明治時代の建物のような、不思議な味がある。
放課後、その難破荘のひなびた門のまえに、私は雪と立った。
外から見たことはあるけど、なかに入るのは初めて。
『難破荘』と、一体いつ書かれたのか分からないほど年季を感じる表札が、斜めになったまま、門にぶら下がってる。
木造二階立ての建物には蔦がはい、色は白で統一されてるけど、所々ペンキが剥げてめくれている。
雨漏りしそう…
ネズミもいそう…
幽霊も出そう…………。
難破荘のまえで、固まったまま建物を見上げていると、雪は「おいで」っと、中へはいって行ってしまった。