【完】『轍─わだち─』

さらに数日が経って、

「ねぇつばさ、今日はオフ?」

まりあから連絡が来た。

「うん」

「じゃあ例のプリンの件、鎌倉駅に十一時ね」

どうやら鎌倉にあるらしい。

つばさは簡単な身支度をすると、最寄りの駅でもある蒲田から根岸線で川崎に出て、東海道線に乗り継いで、大船から横須賀線で鎌倉駅まで出た。

シンプルなデニムに白いブラウスと薄手のジャケットという、モデルらしいいでたちではある。

「江ノ電の改札で待ってる」

との由で、鎌倉駅の構内を江ノ電の改札に向かうと、

「やほっ」

まりあが小さく手を振った。

が。

即座につばさはまりあの脇に男が連れ立っているのがすぐ分かった。

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