【完】『轍─わだち─』

さくらが聞いた限りの話で行くと、

「お兄ちゃんとパパって、仕事のやり方とかことあるごとにもめてて」

それはつばさが初めて聞く話でもあった。

「こないだだってクリスマスのケーキの方針で喧嘩になって」

「うん」

「ママが仲裁しても何かお兄ちゃん、不満そうだったんだよね」

それもつばさは初耳である。

が。

例のパーティーのときに、大輔に対して「あんなやつとは付き合いを許さない」というようなことを穣が放言していたのは、つばさも知っていた。

なので、

「噂に聞いたとき、まさかとは思ってたんだけど、こんなことになるとはね…」

と、大輔ですらただ驚くばかりであった。



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