【完】『轍─わだち─』

13


やがて判明してきた病状は、

「かなり重篤である」

ということであった。

「いわゆる脳出血ですが、どうやら脳幹に近い位置を直撃したようでして…」

病院で百合子が医師からの説明を受けている間、大輔は百合子の指示でさくらに連絡を取った。

さくらが駆け付けたときには、

「正直、どこまで持つか分かりません」

万が一の準備だけはお願いします、と医師は言った。

さくらは一人では不安もあったのか、つばさを連れて来ている。

つばさはどうしたら良いか分からなかったらしく、

「まりあ、どないしたらえぇ?」

と骨肉に染み付いたであろう関西弁で、パニックになっているのがまりあでもすぐ気づくほどになっていた。

まりあは耀一郎に声をかけたらしく、

「取り敢えず、車を出せばいいんだね」

と淡々とした様子で、耀一郎は愛車のケータハムセブンの幌を広げてから、まりあとつばさを乗せ、病院まで飛ばしてきたらしかった。



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