想いの境界線
髪に触れるか触れないかのところで、


パシッ‼


左手で私の肩を抱き寄せ、
右手で陸斗の手を払い除ける遥斗。


「その汚い手で、七緒に触れるなっ‼」


陸斗を真正面から見据え、
睨み付ける遥斗。
朝、クラスの男子達を一喝した時より、
もっと、ずっと怒気を含んだ声色と怒りを隠さない表情…
こんな遥斗は、見たことがない。
騒がしかった廊下が、私たちの周りだけ静まり返る。


花弁を取ろうとしてくれていただけだと、遥斗に伝えたくても、上手く言葉が発せられない。
遥斗が陸斗に向ける、強く冷たい視線。
その視線を受ける陸斗は、顔を歪ませる。
陸斗の肩越しに、見知った顔が心配そうにこちらを見ていることに気付く。
彼女もまた同中から一緒で、
1年の頃彼女だけクラスが違っていたど、休み時間や放課後、柚月が部活がない時は3人でよく過ごしていた…けれど、いつの頃からか梓は私達を避けるようになった。
陸斗が遥斗を避け始めた時期くらいから。


「…あず…」


私の呼び掛けに、遥斗も視線を向ける。
陸斗は…振り向かない。


「……七緒……っ!?」


私の名前を言った後、
梓が息を飲むのが分かった。
梓の目線は私ではなく遥斗を見てる。
隣の遥斗を見上げると、陸斗に向ける目で梓を睨み付けている。
とても、冷たい眼差しで…


久しぶりに遥斗と陸斗が一緒に居るのを
見たのに…
ふたりの仲は…
私が思っているよりずっと、深刻なのかもしれない。
そして…それに梓が関わっている。
何よりも遥斗のその様子が、物語る。


誰も、何も言わない。
陸斗も梓も、遥斗の視線から逃れるように
うつむき、顔を逸らす。


ほんの数分のこと。
なのに、凄く長く感じるのは、重々しい空気のせい。
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