ほしの、おうじさま
その際に指示されていたもう一つの任務を遂行するべく今度は食器棚の前へと移動する。
中に仕舞われていた緑色のプラスチックカップを取り出し、次に引き出しを開けて、ティースプーンを一本適当に選んで抜き取り、カップの中に入れてカウンターの左端に乗せる。

コーヒー派の方が粉をカップに投入する際の専用スプーンとして、朝一番に給湯室に来た当番がそれを準備しておくのだ。
もちろん、自分が一番乗りかどうかなんて事はとっさには判断できないだろうから、とにかくそこにスプーンが出ているかどうか見て、なければ出しておくように言われている。
そしてすでに誰かがセッティングしてくれていたならば、当然自分はやらなくて良い。

極力洗い物と食器棚からの出し入れの手間が増えぬよう、終日、複数人でその一本のスプーンを使い回ししてもらう為に用意しておくのだから、何本も出してしまったのでは意味がないのだ。

とにかく当番は朝ポットの準備をしに給湯室に来たら、自分がトップバッターのつもりで必ずそのスプーンの有無もチェックするという訳だ。

そうして朝の段階での任務をあっさりと終了させ、その後マーケティング課へと移動した。
始業時間となり、いつものごとく渡辺さんにくっついて回ってあれこれ業務をこなしつつ、午前、お昼、午後の休憩時のポット残量チェック、補充も抜かりなくやり遂げた。

「すみません渡辺係長」
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