それは許される恋…ですか
ウェディングベルの鳴る頃には
翌朝、目覚めると厚哉が私の方に向いてる。
口を半開きにして、あどけない寝顔をしてる。
規則正しい寝息に擦り寄り、ほぅ…と深い息を吐く。


このまま何処へも行かず彼の側で眠り続けていたい。
目覚めたら一緒に朝ご飯を食べて、心ゆくまで一緒に居たい。


ちらっとスマホを握って時間を確かめる。
店長ならともかく、今日の仕事相手はお母さんだ。


スルッと布団から抜け出して用意を始める。
久し振りに抱かれた体には厚哉の跡が残ってる。


「やだ、もう…見えそうじゃん」


惑わされた罰だと言われてあちこちにキスを落とされた。
仕返しにと吸い付いてみたけど、私にはどうしても跡が付けれなくて。


歯痒いから首元に噛み付いてしまった。
彼の鎖骨の上には、私の歯型が付いてる。


ハイネックのセーターを着込んで薄いメイクを済ませた。
背中を向けてる厚哉の耳に「行ってくるね」と囁く。


反応もなく眠り込む彼は、今日は休みだと言ってた。
新作のソフトを仕上げ、会社の上司に託したそうだ。


「出来が良ければ正社員への雇用も考えると言われたんだ。明香にもご両親にも安心して貰いたくて、毎晩遅くなってでもいいから早く仕上げようとした」


立ち上がったばかりのソフトの実用化が決まれば籍を入れよう…と言われた。
不安ばかり立ち込めていた生活に、やっと光が差してきたように思う。


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