それは許される恋…ですか
「明香(あすか)は仕事するの初だろうけど、募集時間通りに働けると言った方が雇ってもらい易いよ。採用されたら今夜は鍋パーティーしよう。昨日はなんだかんだで何もできなかったから」


頑張れ…と抱き締められて送り込まれた。
デイリーキッチンの入り口から入ると、お客さんかと勘違いされた。



「いらっしゃいませー」


元気のいい女性店員の声が響き、ハツラツとした中年女性が現れる。


「あ…あの……」


逃げ出したいけど逃げれない。
やっと大好きな彼氏と一緒に暮らし始めたというのに、仕事を持たずしてその生活はキープできない。


「表の募集広告見て来たんですけど……」


考えてみれば電話とか入れてなくても良かったのか。
これまで受けたオフィスの面接は、どれも必ずアポを取らないといけなかったのに。


「ああ、なんだ。パートの面接に来たのね。どうぞ、店舗を出て左側にあるドアから中に入って下さい」


外を指差し、左に出るのよ…と教えてくれる。


「ドアを開ければ事務所だから。そこに店長がいるから話して」


言うだけ言うと厨房の中へ去っていく。
中年女性の背中に一抹の不安を覚えながらも背中を向けて外に出た。



「何だって?」


歩道と車道を仕切るガードレールに足を引っ掛けてスマホをいじっていた厚哉は、直ぐに追い出されてきた私に声をかける。


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